第12章 なぁ、たまには慰めろよ…
重たい空気に沈黙が続く
「「「「‥‥‥‥‥‥」」」」
沈黙を破ったのは空気を読まない高く響く声
「…怖じけずいたのではないですか?」
声の主橘は仁を真っ直ぐ見つめて主張した
「‥あ?」
仁の地を這うような低い声
眉間のシワが更に深くなる
「じ‥仁様が日本のトップの会社のご子息たと聞いて、怖じけづいたのではないですか?」
「あっ?てめぇ‥「違う!あいりはそんなことはしないわっ!」
沸点の低い海斗が怒鳴る前に夏海が声を上げた
「飯島さんだって分かるでしょ?私たちみたいな上流階級の世界と庶民の世界の差を。あいりさんはきっと耐えられないのと分かったのよ…この世界の重圧にね。私たちの前から消えるのは正しいわ。普通科にしては賢い判断よ。」
「何をおっしゃってるのかしら?意味が分からないわ。あいりをバカにしないで!そんなことで潰れる子じゃないの!それに今連絡が取れないだけで私に黙って消えないわよ!」
馬鹿な橘は彼女を怒らせた時点で負けは決まった
「聞いたわ。少し前に居なかったときがあったんですってね?今回も同じではなくて?」
「あなたは知らないでしょうけど、それにはしっかりと理由があったのよ!私しか知らない理由がね!」
「結果的に仁様のお手を煩わせた。私なら絶対にしないわ。」
「それでも仁さんはあいりを選んだの。“私の親友“をね?負けたあなたが何を言っても負け犬の遠吠えよ?」
「‥っ!まだ負けていないわ!」
「……うぜぇ黙れ」
「「…………」」
一気に静まり返る室内
あいりを大切にしている“X”の前で彼女の悪口‥‥
まして彼女を愛してやまない仁の前で言うとは
感服です