第12章 なぁ、たまには慰めろよ…
「可愛そうなあいりにひとつ良いことを教えてあげる…明日会うあいりの婚約者は無条件で君を大切にしてくれる」
仁以外の人なんて‥
でもこんなに苦しまずにすむのなら
そっちもありかな‥
「だから戻りなよ。あの家に」
隠れていた臆病で弱い自分が顔を出す
不安で苦しくて‥
「“X”なんて忘れて…君は楽になれる場所に行きなよ」
悪魔の囁きに
負けた……
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祖父の家までどうやって帰って来たのか曖昧すぎて分からない
庭に立っていた私を見つけた黒服に部屋に戻されたことだけは覚えている
部屋のベットに横たわる
何も考えたくなかった
どうして私は捨てられたのか
考えれば考えるほど負のループに陥る
「…もう、どうにでも…なっちゃえ…」
自然と出た言葉
今はただ、流されてみるのもありかな…