第3章 出会い2
(...いや、私が『男』だということで話進んでますけど、『女』ですから。『信玄』さんって人が言った言葉、的外れじゃなかったですから。)
そう心の中で突っ込んだが、
(でも、まあ、言うのはやめておこう。うん、言ったら色々ややこしそう。)
これもまた心の中で判断した。
「ところで、君は?」
「橘 咲夜、と言います。」
(...反射的に名前名乗ったけど、良かったかな?...まあ、いいか。助けてもらったんだし。)
「橘...。苗字があるってことはお前、武士か?」
『幸』さんに聞かれる。
「それにしては少し奇妙な格好だと思うが...。」
『信玄』さんが返す。
(...また?)
『武士』だの『奇妙な格好』だの、先程からそんなことばかり言われて少し苛立ってきた。
「あの、『武士』だとか『奇妙な格好』だとか、一体何の話ですか?」
苛立ったせいで棘のある言い方になってしまう。
「乱世の戦国時代じゃあるまいし...。」
最後の一言はただのひとりごとのつもりだった。