第3章 出会い2
「幸ー?何してるんだ?」
長身の男性がこちらへ歩み寄ってきた。
「ん?その子は?」
「崖から落ちそうになってたんですよ、こいつ。」
私を助けてくれた『幸』と呼ばれた男性はそう答えた。
「まだ若いのに、身を投げようなんて考えない方がいい。悩みがあるなら俺が聞こうか?」
長身の男性がにこやかに微笑む。
(身を投げようとしてたわけじゃないんだけど...。)
「そんな綺麗な顔でどんな悩みがあるんだい?」
男性は私に近寄りそう言った。
「...は?」
(え?綺麗な顔?)
私がきょとんとしていると、
「ちょ、信玄様、やめてくださいよ。何で口説いてるんですか。こいつ、男ですよ?」
『幸』さんにフォローされた。
(...え?『口説く』?)
全く話についていけない私をおいて、
「そうだったのか。目を奪われる程の美しさだったから、つい女子かと。」
『信玄』と呼ばれた人は答えた。
「流石に信玄様に男色家にはなられたくないです。」
「ならないさ。」