第3章 出会い2
ズルッ。
「...え?」
(...地面が、ない?)
思わず下を見る。
ただ、それは私が落下し始めるのと同時だった。
(ええっっ!?が、崖!?)
そう、私はやみくもに走っていたせいで目の前に崖があることに気が付かなかったのだ。
(お、落ちるっ...!?)
そう思った時だった。
ガシッ...!
誰かに腕を掴まれ、ぐいっと引き上げられた。
「おいっ!お前、大丈夫か!?」
(...え?)
目の前には一人の男性。
「怪我は...ないみてえだな。」
男性は私を眺めそう言った。
「っ、助けてもらってありがとうございました...!」
「別に、たいしたことしてねえから。」
少しぶっきらぼうにそう返される。
(良かった...。助けてもらえなかったら、私、今頃...。)
想像しただけでぞっとする。
「で、お前は何で崖から落ちそうになってたんだ?」
「えっと、それは...。」
(『追われてました』なんて言いたくないな...。第一、信じてくれるかな...?)
反応に迷っていた時だった。