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手と手

第2章 手






すばるが、あたしの頭の上に置いた手



あの手が忘れられん…








1ヵ月程したある日


仕事帰り電車で、すばるを見た




その手には、別の手



電車が止まると

その人と別れを惜しむように手を振ってた





電車が出発した



あたしは、すばるに気付かれないように背を向けた



最寄り駅に着いたら、一番に出て走った





走ってすばるとの分かれ道まで来た





何してんやろ…





たった1回会っただけ


気付いたら好きになってた自分にビックリした





はぁ…






立ち止まって溜め息をついた





「うわぁ!!!」




『うわぁーーー!!!』




すばる「おい。何やってん?」


『えっ?あ…』


すばる「電車乗ってたやろ?」


『あーうん。そっちこそ』


すばる「知ってんやったら、そんな急がんでもええやん」


『誰かと一緒やったみたいやから…』


すばる「あー。友達。」


『ふーん…』


すばる「飲む?」


『ううん。明日も仕事やから』


すばる「ええやん。ちょっとぐらい。」


『じゃー1杯だけ…』




近くの居酒屋に入った





すばる「お疲れー」


『お疲れ様…』


すばる「日曜日、暇か?」


『え?なんで?』


すばる「映画の割引券もろたから行くか?」


『あ、うん。』


すばる「電話。出して」



あたしは、スマホを出した




すばるは、あたしのスマホをいじり

自分の連絡先を登録した



すばる「あ、お前の連絡先、俺に送ったから」


『あーうん。』


すばる「前とちゃうなー。お前」


『そー?』


すばる「まぁーええけどな。よし!!ほな、日曜日。何時がええ?」


『すばるに合わすよ?』


すばる「起きたら連絡するわ。ほな、出よかー」


すばるは、伝票を手にレジに向かった




あたしは、先に店を出た


すばる「ほな、日曜日な。」


『ちょっと!!お金…』


すばる「ええ!!ええ!!」


『じゃーお言葉に甘えて…ごちそうさまです。』


すばる「ほな。」




すばるは、あたしに背を向けて歩いて行った





あたしは、ちょっとの間


すばるの背中を見つめてた





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