第10章 〜10〜
そんな会話で盛り上がっていると、優鞠が私の元へ来た。
「様」
「あ、優鞠!」
「様、私は他の女中と仕事を交代しに行きますのでこれにて失礼致します。」
「そっか……」
「そんな顔なさらないで下さい。私は充分宴を楽しみましたので。様は引き続きお楽しみください。終わった頃迎えに上がります。」
「わかった。お仕事頑張ってね」
「はい。それでは失礼致します」
優鞠は私や周りの武将達に頭を下げると広間を出ていった。
(優鞠ともっと話したかったな……でも専属で付いてくれるから、これから仲良くなるチャンスあるよね)
そんなことを思いながら梅酒を一口飲む。
すると、驚いたような顔をしている家康と目が合った。
「家康?どうしたの?」
「今の女中……名前は」
「優鞠……だけど?」
「……優鞠……なんでここに……」
「???なんでって、3年前から織田家に仕えてるって聞いたけど会ったの初めて?」
「……」
黙り込んで何か考え始めた家康に変わって、三成くんが教えてくれた。
「私たちが安土城へ顔を出すようになったのは数ヶ月ほど前です。それに普段はこの近くの御殿でそれぞれ暮らしていますし、そこには自分の城から連れてきた女中がいます。織田家だけでもかなりな数の女中がいますし、信長様ならまだしも、私達が全ての女中と顔なじみというのは難しいでしょうね」
「そうなんだ……。家康どうしたの?優鞠と知り合いだった?」
「……いや。なんでもない。」
家康はそう言うと立ち上がって広間を出ていってしまった。
「どうしたんだろ……」
「さぁ?」
2人で首をかしげていると、政宗が言った。