第9章 〜9〜
「……凄い……」
「ふふっ、前を向かないと危ないですよ」
思っていた以上の城内の煌びやかさにきょろきょろしながら歩いていた私に三成さんが笑いながら注意した。
「こんな綺麗なお城に来たの初めてで……」
「どの城も、この城の煌びやかさには勝てません。それだけ信長様の元には高価な美しい物が集まるのです。」
「へぇ……(力があるってこと……)」
そんな会話をしていると、三成さんの足がある部屋の前で止まった。
「ここが様のお部屋でございます。どうぞ。」
三成さんは襖を開け、私を中へと促した。
部屋に入ると、廊下程の煌びやかさは無いにしても、綺麗でなかなかに広々とした部屋だった。
「気に入って頂けましたか?」
「はい。こんないい部屋使わせてもらえるなんて……」
「貴方は信長様のお気に入りだと聞いてます。それ位のことは当たり前です。」
「お気に入り……」
「ええ。あ、あと様にお願いがございます。」
「お願い?なんでしょう?」
私は首をかしげて三成さんを見た。