第8章 〜8〜
誰かに肩を叩かれた気がして目が覚めた。
「様、起きてください。」
「んん……」
目を擦りながらその人を見ると、昨日ここまで案内してくれた女中さんだった。
「後半刻程で出発となりますので、支度をお願いします」
「(半刻って何分なの……?ってか頭痛い……なんで……)分かりました……」
「様、大丈夫ですか?」
なかなか立ち上がらず、ぼーっとしたままの私を見て女中さんは心配そうに言った。
「なんか……頭が痛くて……」
「それは……風邪でも召されましたか?」
「いや、多分二日酔いっぽい感じです……」
「信長様にお付き合いして結構飲まれましたものね……歩けそうですか?」
「……大丈夫です……お水を頂いてもいいですか……」
「少々おまちください」
そういうと女中さんは立ち上がり、水を取りに行ってくれた。
(二日酔いなんて滅多にしないのになんで今日なの……昨日寝るまでの記憶もあるからそんな酔ってなかったと思うけど……あ、飲んだことないお酒だったし、睡眠不足だからかな……次あのお酒飲むの気をつけよう……)
そんなことを悼む頭で考えていると、女中さんが戻ってきた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます……(冷たくて美味しい……)」
手渡された水を飲み干し、私はゆっくり立ち上がった。
「この後、二刻半近く歩くことになります。気分が優れない様でしたらすぐ仰ってくださいね?」
「はい、ありがとうございます」
未だ回らない頭で私は女中さんに付き添われ身支度を始めた。
と言っても着替えは持って無いし、顔を洗って髪を軽く整えただけで支度は済んでしまった。