第22章 2人だけで
2人の様子より、私にとって気掛かりなのは、りんさんの事。
具合が悪い訳じゃ無かったなら、やっぱり私が月島くんと話していたのが不快だったのか。
「りんさんが帰ったの、私の所為ですか。」
私と月島くんが仲良くしていると、いつも浮かない顔をしているのを知っていた。
なのに、皆と一緒に居ると、自分を中心にしてくれていた頃と同じように、普通に話してしまう。
りんさんにとって、自分が嫉妬の対象だと分かっていたのに、気遣いが足りなかった。
すぐにでも謝りたいと思って、スマホを取り出したけど。
「違うよ。僕の所為でしょ。」
否定されて、電話はせずに終わる。
「ツッキーが素直に認めるとか、珍しくね?覚えあるんだぁ?」
その途端に、からかうように唇の両サイドを上げて笑うのは黒尾さん。
分かりやすく煽っている。
そんな事したら、月島くんまで怒って帰るんじゃないだろうか。
でも、黒尾さんが考え無しにやっているとは思えないから静観する事にする。
「やだなぁ、覚えなんかありませんよ。
今日だけじゃなくて、最近はずっと、あの調子なんで。今だけ関わったりらより、僕の所為で不機嫌だと思うのは自然な事じゃないデスカ?」
わざとらしい爽やかな笑顔で、誤魔化しに掛かった月島くん。
私ですら、覚えがあると言っているようなものだと分かった。