第22章 2人だけで
3人が帰ってから、忘年会を再開する。
だからって、すぐに空気が元に戻る訳じゃなく…。
「なぁ、黒尾ー。お前、もしかして未練あんのか?」
空気を読まない馬鹿代表の木兎さんが、その話を出してしまった。
「どうだろうな?」
黒尾さんも、否定しない。
もし、月島くんが意地になって、じゃあ返しますよ、とか言い出したら…。
きとりちゃんは、どうなるんだろうか。
想像しただけで、胸が苦しくなってきた。
「じゃあ黒尾さんが、彼女を貰って下さいよ。僕より幸せに出来る自信あるデショ?」
そして、それは現実になる。
だけど。
「幸せにする自信はねぇよ。本人だって、俺に幸せにして貰おうなんざ、思っても無いだろうしな。
お前が、もうちょい素直になってやんのが、あの人の幸せだろ。」
黒尾さんが、それを受け入れなかったから安心した。
だからって、2人がこの話を止める訳じゃなく…。
「つーか、あの人帰ったから言うが…具合悪い訳じゃねぇの、気付いてたろ?」
「…どうして、そう思うんですか?」
「お前、素直じゃねぇ生意気野郎で、送ってやるとか甘い事は言わねぇが。
本当に具合悪い自分の女、1人で帰す馬鹿じゃねぇだろ。」
黒尾さんの言葉が図星だったのか、月島くんは黙り込んでしまった。