第22章 2人だけで
‐りんside‐
久々の飲み会なのに、かなり気が重い。
でも、これは…。
全く決まっていない結婚式の話をされているからでも、
りらと蛍くんが仲良さそうに話しているからでもない。
明日から宮城県にある蛍くんの実家に行く予定だから、である。
この時期だから当たり前なんだけど、年末年始は向こうで過ごす訳で。
ホテルを取る訳じゃなく、蛍くんの実家に全日程泊まるとか、苦しすぎる。
りらが、私を見ているのは分かっているのに、反応してやる事も出来なかった。
多分、心配してくれてるのに、大丈夫だと返すのすら無理。
だって、大丈夫じゃないしね。
「りんさん、つまらないなら帰ったら?」
こういう時、気付いたからって優しくはしてくれないのが蛍くんだ。
つい数日前、いきなり新幹線のチケット見せてきて。
年末年始は宮城とか、平然と言ってきた。
アンタの所為で楽しめないんだってば。
こう言い返せれば楽なのに、返したら返したで、倍返ししてくるのが蛍くんって人。
ここは従った方が、考える時間も取れるようになるし、良いかもしれない。
「ごめん、ちょっと具合悪いから、先に帰るね。」
断りを入れて、立ち上がった時、店の扉が開く音が聞こえた。