第22章 2人だけで
流石に仕事納めの日は、普段来る常連の方々も締めの飲み会やらがあるようで。
結局、来店したのは予定通りの面々だけというオチ。
黒尾さんと秋紀は、まだ到着していないけど店仕舞いをして、早々に混ざる事にした。
その中での話題は、結婚式の事である。
「やっぱ登場は、カッコイーのやりてぇよな。あの箱みたいなのに乗って上からとか?」
「ゴンドラね。そんな予算ないからダメ。」
こんな調子で、相変わらず派手好きの木兎さんが提案をしては、かおるさんに却下を食らっていた。
木兎さんの事だから、思い付いたまま、ただ喋っているのは分かる。
だけど、その内、木兎さんが味方を作ろうと喚き始めるのが目に見えていた。
さっさと話を他へ振って、聞いていない顔をしておこうと、月島くん達の方を向く。
「…そっちは?」
「何が聞きたいの?」
「結婚式の話してる。」
「木兎さん達のデショ。いきなり、こっちに振られたって反応しようがないよ。」
私の言葉が足りないのは、いつもの事だ。
月島くんは、分かってるのに分からないフリをして、私の返す言葉を楽しんでいる。
そして、私達がこういうやり取りをしていると、りんさんが落ち込むのだ。
心配になってその人を見ると、思った通り沈んだ顔をしていた。