【ONE PIECE】アイサレたくない恋【サッチ】
第6章 Trouble➤Problem
上機嫌で店を出て街を歩く。
あの娘の絶望しきった顔が脳裏を離れない。
私の身代わりだと知った彼女はどうするだろうか?
縁を切る?それともこのまま続ける?
どの選択肢をとろうがもうどうでもよかった。
事実を知った今、完璧な"ワタシ"は演じれなくなる。
鼻歌を歌いながら路地裏に入り、しばらく歩いたところで振り返った。
「出ていらっしゃいよ」
「…いつから気付いていた?」
「愚問ね」
「ふん、新入りだと鷹を括っていたが…そうでもなさそうだ」
「よく私が新入りだって知ってるわね?まさかストーカー?嫌だわぁ」
「違う!賞金稼ぎだ!」
「あらそうなの。じゃあ、容赦なく潰せるわね」
「…舐めた口を」
「今私超機嫌いいの!サービスしてあげちゃーう」
結局腰につけた刀を抜くこともなく、その場から動くこともなく、あたり一面真っ赤に染まった。
エアエアの実は便利だなぁ。
頭痛さえなければ完璧なんだけど。
「なかなか酷なことをするねい」
「それは何に対して?」
「両方だよい」
「マルコ隊長、そこから見てたんだー」
「気付いてたくせに…」
傷どころか返り血一つ浴びてない私の上から被せられた布によって露出していた肩や足が隠され、いつも通りの感覚に落ち着く。
「止めればよかったのに。今の私他人の不幸は蜜の味状態だよ」
「自分の問題は自分で落とし前つけろ」
「そっかそっかー」
「おい、その格好で船戻るつもりかい?」
「え、駄目?これ着てるじゃん」
「駄目だよい!不自然だろうが。買ってやるから来い」
「スカート長いのねー」
隣を歩きながら頭を撫でられ頬が緩んだ。
と同時に凍っていた心が溶けるような感じがして、ようやく不安だったのだと知る。
彼女も私も一人の人間で、客観的に見れば自分の居場所を取り合う醜い戦いをしていたわけだ。
勝敗はわからない。
でも私には新しい家族がある。
「ねぇ、マルコ隊長」
「どうした?」
「家族って"アイシテル"?」
「当たり前だよい、"愛してる"」
「私も?」
「愚問だねい」
新しい家族は、"愛し"、"愛される"家族。