第11章 愛してるから、選んでほしい【燭台切光忠】
変わりたいと思うと同時に、
この関係を捨てたくないとも思うんだ。
「五十嵐さん、おはよう」
「あ、光忠先輩おはようございます」
登校中、すぐに見つけた後輩の背中に声をかける。
すると、彼女は、くるりとこちらを向き今日も愛くるしい笑顔で、僕のことを見てくれた。
「聞いてくださいよっ!今日!実は数学の小テストがあるんですよ〜。ほんと、最悪で…」
「あー、担当って宗三先生だっけ?」
「そうなんですよー、宗三先生って細かいところをテストに出すんですっ」
「だよね、僕もそうだったよ」
学校への道を歩きながら、今日ある事を話す。
そんな何気ない時間がすごく楽しくて、僕の宝物である。
「でも、今日いい事もあるんです!」
「何?」
「実は、今日の学食…カツカレーなんです!」
女のコがカツカレーか珍しいなぁ、とか思いながら聞いているとふと、五十嵐さんが頬を膨らませ、こちらをジトリと見てくる。
な、なんだろう?