第7章 僕の記念日に、君の名を。【鶯丸】
最近、よく行く小さなコンビニに可愛いらしいバイトの子が入った。
「いらっしゃいませ」
そう言って、ニコリと笑うその人はまるでこの地に降りたった女神様のようで。
俺は一目でその人に、…恋をしてしまいました。
「温めますか?」
「あっ」
「…お弁当、温めますか?」
「すまない、よろしく頼む」
かしこまりました、と笑って俺の三色丼を専用のレンジに持っていく。
歩く姿も可愛らしくて、にやける口元を手で隠す。
初めて彼女…五十嵐さんと会った、あれから毎日仕事帰りにコンビニへとよる。
理由は単純なもので、俺がコンビニの扉を開けた時の、彼女の照れたようないらっしゃいませ、が見たかったから。
その顔を見ると、やっと長い長い俺の一日が終わった気がした。
「あの」
「えっ」
「あ、えっと…」
あの、顔がまた可愛らしいんだよなあとか一人考えているとふいに彼女が栄養ドリンクなどを通しながら話しかけてきた。
外は生憎の雨で、今は俺と五十嵐さんしかいない店内は放送だけがけたたましく流れている。
「お弁当、すこし時間がかかりそうなので…すみません、話しかけてしまって」
そう言って、困ったように笑う五十嵐さん。
その顔がまた可愛くて、心臓はドキドキと駆け足になる。
俺は彼女に、気にしなくていいと一言伝えると嬉しそうに笑う。
彼女のしぐさで俺が壊れてしまいそうだ。