第6章 家族だからしょうがない。【加州清光、大和守安定】
私は三つ子として生まれてきた。
お兄ちゃんは女子力高めのおしゃれさん。
弟は生まれつき可愛い顔した腹黒くん。
そして、真ん中に生まれた私は、
地味で平凡な陰の薄い人。
「ほら、清光、安定!起きて!」
「「やーだー」」
私の朝は、まず彼らを起こすところから始まる。
寝起きの悪いこの二人を起こすのは至難の業で、早々に匙を投げた母親からこれからは星の仕事よっと告げられたのは、今は遠い昔の話。
「あ、ちょっと!!待ちなさいって!!」
私が引っペ返した布団にまた潜ろうとする兄の清光。
私はそれを許すはずもなく、慌てて布団を引っ張るも清光も譲るつもりはないらしい。
「…ぅおっ!!」
そうこうしているうちに、寝ていたはずのもう一人が私を足払いして、私の体は勢い良くベットの中へと倒れていった。
「やーすーさーだー」
「だって、星が寝かせてくれないんだもん」
「知ってますか!?あんたたちが起きなきゃ怒られるの私なんですけど…!!」
てへぺろっと言いたげな顔で後ろから羽交い締めをしてくる弟の安定。
重いし、暑いしでひっぺがえそうにも後ろからなのでうまくも行かず、私のイライラはどんどん溜まっていく。
「星、うるさい」
すると、今度は安定から奪うように腕をひかれ私は清光に抱きしめられる。
私の口は清光の肩で塞がり、少し苦しくなる。
頭の上で安らかな呼吸音が聞こえるのが、またイライラを誘う。
「清光、独り占めしないでよ」
「んー…だって、星赤ちゃんみたいに温かいし」
「んんんんー!(私は湯たんぽじゃないからな!)」
「僕だって欲しいし」
するりと腹の下から腕が伸びると、前は清光、後ろは安定の完全ホールド体制が決まる。
人の事、湯たんぽか何かと勘違いしてるんじゃないかと清光を睨む。
すると、清光は厭らしい笑みを浮かべる。