第5章 この女、冷酷 冷淡 冷徹 にして最狂
屋敷の点検から始めた私達の間に会話はない。
なんだかとても気まずいのだ。
女だってバレてるし、あんなことしちゃったし……。
「おい、そこの壁紙破れてるぞ」
頭上から声がしたので見上げると、ステラさんがこちらを見ていた。
相変わらずの無表情は、昨日の行為は現実だったのかと疑ってしまう。
「ステラさんのせいで腰痛いんですけど?」
「痛みに耐性あるんだろ?」
「心が痛むんです~!!」
しゃがんでいた私にかぶさるようにして立つステラさんの足をぐっと押す。
「やめろ、転ぶだろ」
そう言ってるステラさんを置いて、私は少し歩いたところの壁を点検する。
「…悪かった。すまん」
私がステラさんの方を見ると、深々と頭を下げていた。