第3章 怪しい依頼にはご用心⁉︎
まったく埒があかない…
そう思った時だった。
「時間だ、引き分けだな」
私たちから少し離れたところで高みの見物をしていた燕尾服の男がそう言った。
その言葉でクレナさんは攻撃をやめて、
狂気じみた目が正気に戻っていた。
「アオメ凄いねっ、こんなに長く遊べたのは久しぶりだよっ!」
そう言ってクレナさんは抱きついてきた。
「クレナ、俺たちはマスターのところへ行く。離れろ………」
燕尾服の男が私からクレナさんを剥がしてくれた。
そして私の前を颯爽と歩き始めた。
これまではずっと私の後ろを歩いてきたのに。
不思議に思いながら、クレナさんに別れを告げた私は大人しく後をついていく。
行き止まりについたと思ったら目の前の壁を男は押した。
するとその壁はドアのように開いた。
「地図にこの扉のこと書いてあったか?」
私はその問いに首を振ると男は満足そうに微笑んで、中に入っていった。
私も後をついていくとこれまで行った部屋とは違い、豪華な内装だった。
「マスター、アオメを連れてきました」
スーツの男がそう言うと、華美なソファに座っていたマスターと呼ばれた人がこちらを向いた。
「ーなっ、あなたがなんでここにっ⁉︎」
私はその顔を見たことがあったので思わず変な声を上げてしまった。
マスターと呼ばれたその男。
それは今回のこの屋敷の主を殺せと命じたクライアントだった。
「やぁ、アオメ。よく来たな。とにかく座れ」
クライアント、もといマスターは私をソファに座らせてこう話した。