【黒子のバスケ】それはいっそ悪夢のよう【緑間真太郎】
第4章 1度目は僅かな希望に縋り
それはほんの一瞬の事ですぐに仏頂面に戻ってしまったが、俺の目にはしっかりと焼き付いてしまった
なんとも…面白い奴らだ。
最初はバスケ界で有名で…
特に俺をコテンパンに負かし己の才能の差を見せつけてきたこの男に一矢報いたくて話しかけてみたけど
意外と普通なのな
もっと自分ありきで俺の事なんて興味も意識もしないと思っていたのに
それに…
きっと緑間真太郎は恋をしている
それはどこにでもいる高校生の様に
「行くぞ高尾」
「へーいw」
これが俺と緑間、要との出会い
この2人を真ちゃん、城ちゃんと呼ぶにはそれほど時間はかからなかった
高尾side終了
あの出会いから数ヶ月経った
俺は未だ何も起こる事はなく前回と変わらない毎日を送っている
要とは前ほどではないが言い争いをしつつも、それなりに交流を持つ事が出来たのは前以上か…
人事を尽くしたからな
しかし…
「また…負けたのか…」
インターハイ予選決勝
前と変わらず相手は誠凛だった。前回の結果、敗因を知っている俺は、どこか後ろめたさを感じつつも今回はどうしても負けたくなく、自分ありきの試合では無くチームプレイに徹した
しかし結果は1度目と寸分狂わなかった
前回より火神の跳躍の威力が増していた
それはもう俺達キセキの世代と遜色がない程の実力で俺の前に立ちふさがってきたのだ
俺と相性が悪いあいつに苦戦を強いられて秀徳は勝利を手にする事が出来なかった
「緑間君、変わりましたね」
帝光の俺を知っている黒子はチームプレイをする俺に驚いていたようだが結果が伴わなければ意味がない
それに…
ベンチで必死に涙を堪えていた要
以前は負けたショックからあいつにまで気が回らなかったがもしかしたら前もあんな表情をさせていたのかもしれない
雨にうたれながらぼんやりと考えを巡らせる
もしかしたら前に起こった出来事を変える事は出来ないのだろうか
だとしたら俺は何のためにここにいるのだよ
また死なせるのか…俺の所為であいつを
「苦しいな…」
あいつの泣きそうな顔を見た時から胸が締め付けられるように痛い
何故だ?
『緑間…』
するといつの間にか俺と同じ様に雨に濡れながら俺の前に佇んでいる要が俺に声をかけた