第4章 日向と日陰
赤葦side
「俺が産まれた時さ母親がいなかったんだ」
『え…』
「なんでだと思う…?
爺さんに殺されたんだよ。」
そう、俺は母親がいなかった。
だいたい5歳くらいの頃だったかな…
「お父さん!!」
「おー、京治どうした?」
丁度、仕事から帰宅したお父さんを玄関で出迎えちょっとしたお喋りをする
仕事で忙しいお父さんとはこの時間と年に1回だけの旅行の時しかまったりとお喋りはできない
だから毎日この時間がすごくたのしみだった
「ねーお父さん、俺にはなんでお母さんがいないの?」
「お母さん?いるよ」
「どこにいるの?」
「今は仕事で忙しいから家には帰ってこれないんだ。お母さんは京治のために頑張ってるから、京治もしっかり学業に励みなさい」
「うん!」
俺はお父さんのこの大きな手が大好きだった
いい事をすれば頭をなでて褒めてくれて
悲しい事があれば頭をなでて慰めてくれて
すごく安心できた
「はやくお母さんに会いたいな〜」
「お父さんも会いたいな…」
お母さんの話題を出すと、お父さんは毎回どこか悲しい顔をしていた