第10章 SEVEN
「スタッフにも人気ですし、何よりプロデューサーにも人気ですしね」
「おい、山田。
それ、俺初めて聞くんだけど」
「いや、その、し、渋谷さん落ち着いて」
そりゃ、すばるには言えんやろー。
「へぇ、人気者なんだ白元ちゃん」
「・・ヤス、お前は、はぁ・・・」
「えっ?俺、何かした?」
ヤスの気の抜けた声に毒牙も抜かれたのか、舌打ちして椅子に座り直すすばるを見ながら俺は頭が痛くなった。
ほんま、これから生放送やで。
みんな緊張感なさ過ぎや。
「で、くれるのくれないの?」
「やるか!アホっ!!」
あ、思わず条件反射でツッコミ入れてもーた。
先輩やで、もーぉ、泣きたい。
2人が笑って許してくれたから良かったものの、落ち込む暇なく始まった24時間テレビ。
いつもの如く、マルは噛みまくり。
正直ヒヤヒヤもんだった。
だが、意外に協力的だったのはすばると大倉。
普段のすばるなら口を開けば、下ネタばかりなのに今回は言わん。
わけを聞けば、
「あのアホプロデューサーをギャフンと言わせるって決めたんや!」
今時、ギャフンって・・
「信ちゃんは聞いてへんかったけど、この番組のプロデューサーの1人が白元ちゃんの事気に入ってるらしいで」
「えっ、それでか?!」
ヤスの言葉に納得するしかない。
何だろ、これ・・
おらんのに操られてる感。
改めて、俺は白元が怖くなった。