第16章 THIRTEEN
ー大倉sideー
「な、ヤス何がどーなってんのか説明してや」
もう涙目のマル。
隣に座ってるヤスの肩を揺さぶってた。
「コンサートツアー終わって、家帰ったら白元ちゃんが来てた」
「えっ?!何しに?」
「それは知らん。
けど、何も聞かず泊めてくれってゆーたんや」
「それで泊めたん?!」
頷いたヤスは、ゆっくり話し始めたんや。
正月休み、俺たちに会わない間の事。
そして、ヤスの所にいる事を口止めされた事。
「・・内緒って言われたんや。
今まで黙っててごめん」
「・・大倉、平気か?」
「あぁ、うん、平気」
心配そうに身を乗り出してくるマル。
その表情で、マルは俺が白元さんを好きだと思ってるって事を思い出した。
あかんな、頭が回ってへん。
「大丈夫だよ、マル。
俺、そんなショックやないねん」
そう、ショックじゃない。
すばるくんや亮ちゃんが白元さんを好きだと聞いてもそんなショックじゃなかった。
多分や、多分・・
俺の好きと違うんやろーな。
「でも、大倉は何で気付いたんや?」
あぁ、それはみんなにゆーてへんかったな。
「知ってたから。
村上くんが白元さんにゆーてんの聞いてた」
大倉・・ と、眉間に手を当ててため息を吐く村上くん。
あの日、みんながホテルの信ちゃんの部屋で雑魚寝してる時、
目が覚めてた俺は思わず狸寝入りした。
動けへんかった。
話しかけれへんかった。
だってな、邪魔したくなかったんや。
信ちゃんのあの声色、あれはあれやで。
「ごめん村上くん。
俺起きてて、村上くんが何かあったらヤスを頼れって言ったの聞いてた」
でも、ほんまにヤスの所にいるとは思わへんやん。
それは、村上くんも一緒やろ?