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俺らのマネは地味子さん。

第15章 TWELVE






ー丸山sideー



タクシーに乗り込む直前、顔を上げたあずみさん。

ハッと目を見開いた。


「コラっ!白元あずみ!!
待たんかいッッ!」

ジーッと信ちゃんを見つめてる。
信ちゃんの隣に立ったしぶやんに気付くと、視線を横に向け俺たちを見た。

微かに動くあずみさんの唇。

驚いてるんやろーな。
俺も驚いてるで。

何でこんな所にいてんの。
ほんま、みんなで探してたんやで・・


「白元!
そこから動くな!
直ぐ行くから動くんやないでッ!!」


信ちゃんの声が聞こえたのかあずみさんは、首を横に振った。

そして、悲しそうな笑顔で笑ったんや。


「地味子!!」
「白元さん!動かんで!」

あずみさんの動きがわかったのか、叫ぶしぶやんと亮ちゃん。

困った様に笑顔を見せたあずみさんは、そのままタクシーに乗り込んだ。


「てめぇ!舐めんなやッッ!!」
「ヒナっ!!」

車道に飛び出す信ちゃんを慌てて裕ちんが引き止める。

「ヨコ!離せッッ!」
「落ち着けヒナ!
もう、間に合わん!!」


裕ちんの言葉通り、あずみさんを乗せたタクシーは緩やかに遠ざかってく。

崩れ座るしぶやんを大倉が支え、それでも追いかけようとする亮ちゃんをヤスが引き止めてた。


「離してや、章ちゃん!」

「亮、落ち着け」

「やっと会えたんや。
やっと見つけたんやでッ・・」

「大倉、ヤス。
2人連れて行って」


このままここにいたら騒ぎになる。
今の状態でも危ういんや。

車まで戻ると山田が戸惑った様に立ち尽くしてた。



「山田、直ぐに車出して」

「はいっ!」

押し込む様に3人を車に乗せる。
みんな、無言。
誰1人、言葉を発しようとはしなかった。




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