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俺らのマネは地味子さん。

第15章 TWELVE






ー錦戸sideー



カーステレオから流れるメロディー。
1曲しか入ってないためか、また頭から流れ始めた新曲のデモ。

窓に頭を預け、ぼんやりとその歌詞に耳を傾ける。

あかん、その歌詞・・・
まるで・・




「ヤス・・」

黙ったままだった村上くんが急に声を出した。


「何?」

「ホテル着いたら俺の部屋に来い」


来てやなくて来い。
村上くんが章ちゃんに命令口調なのを俺は、初めて聞いた。

どーしたんや?
疑問が頭に浮かぶ。


「信ちゃん俺も行っていい?」


慌てた様に口を開く大倉。

その表情は、いつもと違う。
明らかに焦った表情や。


「・・修羅場やで、ええのか?」

えっ?修羅場!?


「わかってる」
「ちょい待てや!
ヒナ何の話や!修羅場って何でヤスと?!」


横山くんの言葉に俺も頷き、身を乗り出した。

何かある。
そう、直感してたんや。


「はぁ・・
覚悟してるよ・・」


章ちゃん?
村上くんが何を言いたいかわかってるん?!

この現状をわかってんのは、村上くんに章ちゃん、そして大倉だけ。



「ヒナの部屋集合や。
ええやろ、全員いてもかまわへんやろ?」


すばるくんの言葉に2人が頷く。

章ちゃんだけは、唸りながらすばるくんを見てた。


「俺、しぶやんに殺されるかもしれへんな・・」

「な、何なん!
ほんま、章ちゃん一体何したん!?」

「どっくん落ち着け、着いてからや」


横山くんに窘められ、俺は口を紡ぐしかない。


それから車内は、新曲の音だけが鳴っていた。


愛を綴った歌詞。
胸に染みるんや・・・






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