• テキストサイズ

俺らのマネは地味子さん。

第15章 TWELVE






ー横山sideー


こんな時間にこんな場所を変装無しで走ったんは、何年振りか。
思い出せんほど過去の事。

肌を刺す様な冷たさ。
モヤモヤしてた気持ちが段々クリアになってく。



「ヒナおったで」


2人は立ち止まり、向こう側の歩道を見てた。
その言葉につられる様に俺も視線を向ける。


えっ?
マジか?!

毎日毎日見てた。
後ろ姿だけど見間違うはずがない。

黒いコートは去年も着てた。
髪はいつも通り1つに束ね、持ってるのは毎日持ち歩いてたでかい黒い鞄。

見間違うわけがなかったんや。


「白元っっ!!」

すばるが叫ぶかと思ってた。
けどな、声を張り上げのはヒナ。

それでも、白元は立ち止まらず歩いてく。
交通量は少ないがいないわけやない、車が出す排気音に邪魔されてる。


「コラっ!白元ッッッ!!!」

届かない声に苛立ち始めたヒナ。
罵倒するかの様に叫びながら走り始めた。

周りの人達は何事かとヒナに注目してる。


「村上くん落ち着いて!」

「地味子っ〜!!」

「しぶやんまで!!」

また、走り出した俺たち。
ここで見失うわけにはいかなかった。

探して、探して、やっと見つけたんや。

このまま何も話さず終わるわけにはいかねぇ。


「あずみさ〜ん!!
あ、あかん!
タクシー止めてるで!!」

マルまで叫び始め、指を指す。

手を挙げ、タクシーを止めた白元。

あかん!
ほんまに、あかん!!


どうにか先に正面側に立ったヒナ。
渾身の力を振り絞って叫んだ。







「白元あずみっっ!!コラっーーっっ!!!」








/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp