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俺らのマネは地味子さん。

第15章 TWELVE






ー渋谷sideー



地味子がいない。
オフが終わりホテルに戻って来た時には最中の殻だった。

ホテルの部屋も支払い済みでもう、ここには戻って来ない。
東京に戻っただけだと考える様にしたんや。
メールするとちゃんと返事も返って来てたしな。


けど、そのまま正月休みに入って、マネージャーを辞めた事を知ったのはだいぶ経ってからだった。

気付いた時には、遅過ぎた。

跡形もなく、消えてたんや。






降り頻る雪の中、歩道に飛び降りた俺は来た道を戻る。

見たんや!
俺は見た!

背後から俺を呼ぶヒナの声がする。



「待て!急にどうしたんや!!?」

「いた!見た!おったでーーっ!!」

「!!」

何事かと疎らにいる人の視線。
気付かれてへんがバレるのが目に見えていた。

だってな、あのヒナが大声で俺の名を叫んでんねん。


「コラっ!すばる!!」

「アホ!ヒナ呼ぶなっ!
バレてまうやろーっ!!」


叫び返した俺の言葉にハッとしたヒナ。
だが、俺もヒナと大声で叫んでた。

あ、あかん!
ヒナとすばるじゃ誰かバレバレや!!

それでも俺の足は止まらなかった。

そろそろや。
そろそろ、さっき見た場所に着く。


「あっ・・」

反対側歩道。
こっちに背を向け歩いてる後ろ姿。

いた。


「すばる!」

歩みを緩めた俺に追い付いたヒナ。
その後ろから遅れて他のメンバーの姿も見える。

「しぶやん〜!信ちゃん〜!!」

大声で叫ぶマル。

「あいつは・・!」

人の事が言えへんやろ、ヒナ。
まぁ、俺もや。

「・・ヒナおったで」

「えっ?」

いたんや!
あいつが!!

地味子がいた!!!




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