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俺らのマネは地味子さん。

第15章 TWELVE






ー大倉sideー


久しぶりの御堂筋。
久しぶりに車内が無音では無い。

最近はマルちゃんが一生懸命盛り上げてた。

この歌詞・・

新曲用のデモ。
今からなら発売は早くて9月。




「どこにおんねん・・」

微かに呟かれた隣に座るヤスの言葉。

「えっ?
ヤス・・もしかして、やっぱり・・・」

ある記憶が蘇る。

もしやとは思ってた。
けど、ヤスの態度は俺たちと同じで尋ねる前にその考えを俺は否定してた。

はっ!と思い、後ろに座った信ちゃんを見る。
信ちゃんも驚いた表情をヤスに向けてて、俺を見てより一層目を大きく開いたんや。


「・・大倉、何で?」

何でって・・
そりゃねぇ、聞いてたもん。


俺たちの様子を御構い無しに窓に額をくっ付けて外を見てるヤス。
その視線は、歩道に向けられてた。

もしかして・・

「山田止めろッ!!!」

口を開こうとしたその瞬間、車内にすばるくんの声が響いた。

先程までの音量とは全く違う大声。
久しぶりに聞いた、すばるくんの大声だ。


「えっ?!はいっっ!!」

路肩に寄る車。
止まったと同時に無理矢理前の席に来るすばるくん。

「ちょ、すばるくん?!」
「しぶやん痛いっ!」

1番後ろに座ってたすばるくんは、マルちゃんを踏みつけて前までやって来る。
すばるくんの隣に座ってた亮ちゃんは慌てて止めようとするが、すばるくんはそのまま外へ飛び出した。


「おい!すばる!!」

後を追いかける様に信ちゃんまでも無理矢理前に来て車から飛び出した。

「・・・ヤバくない?これ・・」

すばるくんが座ってた所を見て、隣に座ってたマルちゃんを見て呟いた横山くん。
マルちゃんは信ちゃんが座ってた隣の席をジーッと見つめ後、横山くんを見て引き攣った笑みを浮かべた。


「・・あの人ら変装してへんで」

「大倉!どけっ!早く降りろ!!」

横山くんに急かされ、俺は慌てて車から降りた。

雪に埋もれた歩道。
いつもより人はいないが全くいないわけじゃない。

あ、俺も変装してへん。

そう思った時には遅く、次々に残りのメンバーが飛び出して来る。

車内に残ったのは山田だけ。


「ど、何処に行くんですか?!!!!」

山田の悲痛な叫びは最後に降りたマルちゃんがドアを閉めたと同時に儚く消えた。




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