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俺らのマネは地味子さん。

第15章 TWELVE






「なー、御堂筋通って」

「遠回りになりますよ?」

「かまわへん」

「・・わかりました」


突然、車に乗り込んだ途端 進路を指示するヤス。
戸惑いながらも山田は車を動かし始めた。


「御堂筋に何かあるのか?」

「うん、久しぶりに通りたいやん」


そう言って歌を口ずさみ始めたヤス。
御堂筋が出でくる俺たちの歌やった。

静かな車内。
ヤスの微かな歌声が響く。

それに乗っかるようにすばるも歌い始めた。

歌番以外で聴く、久しぶりのすばるの歌声。


ヤス、何っう曲選ぶんや・・・



白元が消えて、俺たちは探した。
特にすばるは必死だった。

けど、いくら聞いても手掛かりは無し。
連絡先を変え、マンションも引き払った後。

正月休みの間に白元は、跡形もなく消えた。

いた事さえ夢じゃないかと思ってしまう。
けど、エイターの前で白元の存在を明かしたのは現実でそのおかげで夢ではないと実感してたんや。

もしかして・・と、思ったが白元が頼ってるそぶりは見えへん。


山田の話だと、12月31日付けでマネージャーを辞めてる。
だが、事務所には雇用されたまま。

どこかに絶対にいるはずだが、白元の採用はジャニーさん直属らしく、そのジャニーさんにも簡単には連絡が取れへん状態だったんや。

俺たちは、もう八方塞がり。
為すすべが無かった。


「あの、新曲のデモ出来ました。
聴いてもらえますか?」

「ええで〜」

恐る恐ると言った感じの山田。
再び静かになった車内にメロディーが流れ始める。


これは・・


「あ・・」

御堂筋に入った途端、窓に顔をくっ付けて外を見るヤス。

雪に埋もれた御堂筋。
降り止む事なく雪がチラチラと降ってた。

雪のためスピードは緩やかで、通ってる車自体少ない。


「どこにおんねん・・」

えっ?

微かに聞こえたヤスの呟き。

今、何て言った?!





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