• テキストサイズ

俺らのマネは地味子さん。

第14章 ELEVEN





ー白元sideー



まだ、夜更け前。

頬に感じる暖かな温もり。
優しく添えられ、ゆっくり撫でられる感触に私は覚醒し始める。



「うん?」

ゆっくり瞳を開ければそこには村上さんの顔。
目を覚ました私に驚き、その温もりが離れた。


「村上、さん?」

「起こしたか」

「いえ」

そう言いながら私は、身体を起こそうとした。

「寝てろ、まだ早いで」

「大丈夫です、私・・・」

「酔いは醒めたみたいやな」

あ。
普段、ワインなんて飲まない。
嗅ぎ慣れない香りに疲れた身体にはてきめんだったらしい。


「ご迷惑お掛けしてすみません」

「・ほんまや。
ほれ、お前が起きねぇからすばる以外潰れたで」


そう言われ、辺りを見渡すと折り重なるように雑魚寝するメンバーの姿。
その周りには、空になった空き缶が転がってた。


「・・・本当、何かすみません」

「まぁ、明日はオフや。
みんな実家帰るぐらいの用しかねぇだろうし、ええんとちゃう」

「・・あれ?渋谷さんは?」

起きてるって言ってたはずの渋谷さんの姿が見えない。


「風呂。
酔い覚ましするって」


微かに聞こえるシャワーの音に私は、納得した。
そんな私をジッと見てくる村上さん。

な、何?


「独り言や」

「えっ?」

「今から言う事は独り言や」


わけがわからなかった。
けど、それでも見てくる村上さんに私は曖昧に頷き返した。


「携帯が鳴らへんねん」


そう切り出された言葉。
余計に意味がわからない。


「鳴らんのがおかしい。
俺のもすばるのもヨコのも・・みんなの携帯がうんともすんとも言わへん」


携帯を開け閉めする村上さん。


「1番おかしいのは、お前の携帯や。
白元の携帯が鳴らへんのが1番おかしい」


えっ?


「いつもマナーモードでバイブにしてるやろ?
今もそうだとして、バイブも鳴らへん通知の光も光らん・・」


村上さん・・


「山田が東京戻ったって知らせが来てから何も鳴らへんねん」


言いたい事がわかった。
わかったから、独り言なんて言ったんだ。


「村上さん」

「独り言や。
ええか、何かあって、もし困ったらでええねん。
困ってなくてもええねんけど」


そう言って切り出された言葉。
私は、黙って聞いた。






/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp