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俺らのマネは地味子さん。

第14章 ELEVEN






「何故、横山さんなんですか?」

「だって!ほら、横山くんの前じゃ泣いてるやろ!」

「・・泣いてますね」


言われて気付いた様な表情の白元。

あかん、何したいんや俺・・
空回りしてるわ。


「・・今日、会場を出る時沢山のエイター達の声を聞きました」


急に立ち上がった白元は、ポットに近付きお茶を入れながら話し出した。


「賛否両論。
認めないって方も認めるって方もいました」

「おん」

「・・エイターはそれぞれ葛藤してました。
私は、女マネージャーの存在は認められないと思ってました」


そう言ってカップを手渡してくる白元。
俺は受け取り、静かに相槌を打った。


俺だってエイター全員が直ぐに納得してくれるとは思ってへん。
けど、白元の存在を隠したままではいたくなかったや。

俺たちが認めた存在だから。
そう思ったら、隠す事が出来へん。



「ありがとうございます、錦戸さん」

「えっ?」

「錦戸さんが怒ってた意味やっとわかりました。
怒ってくれて、ありがとうございます」


ステージで話した内容が蘇る。


「私、皆さんを信じれば良かったんですね。
守るとかではなく、一緒に信じていけば良かったですね」

「・・存在勝手に明かして悪かった。
今から大変な目に合うかもしれん、嫌な事も言われるかもしれん」


それは、メンバーと散々話し合った。
明かして白元の周りで何が起こるか、俺たちのそばにいて何を言われるか、散々話し合ったんや。


「けどな、守るから。
俺がお前を守る」

「・・・大丈夫ですよ。
私、こう見えて強いですから」


そう言って笑う白元。
強がりだとわかってる。

わかってて、俺は頷き返したんや。

今は、それでええ。
今はな・・



「でも、忘れんといてや。
俺がいる事、俺たちがいる事忘れんな」

「・・はい、しっかり覚えておきます」


どうしても伝えたかった事。
他のメンバーより先に1番に伝えたかった。

あかんってはわかってんねん。
メンバーのみんなもエイター達も裏切る想いだとはわかってる。

だから、口に出すつもりは無い。

けど、想っててもええやろ?
密かに想ってるだけや、それだけは許してや。






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