• テキストサイズ

俺らのマネは地味子さん。

第14章 ELEVEN






「みんなが待ってるで」

俺は促す様にエレベーターに足を向ける。


「あの、先に着替えてもいいですか?
出来れば、髪とメイクもいつも通りに戻したいです」

「・・何で?」

「いつもの白元として皆さんに会いたいんです」


うーん、みんな知ってるんやけどな。
そう思いつつも俺は頷き返した。


「村上さんのお部屋ですよね?
先に行って下さっても大丈夫ですよ。
部屋番は把握しています」

「・・一緖に行く」

「今更、逃げませんよ」


逃げるとか逃げないとかやない。
とりあえず、そばにいたいんや。



白元の部屋は俺たちより1つ下の階。
間取りは、いたって普通。
俺らと何の変わりもなかった。


「ちょっと散らかってますけど、どうぞ」

そう言って椅子を勧める白元。
俺はそれに従った。

「いつこっちに来たん?」

「昼です。
それまでは東京で仕事してました」

クローゼットの中からスーツを取り出し、ベッドの上に置く白元。


「スーツは着なくてええで」

「えっ?でも・・」

「メイクも髪もそのままでええっうかそのままでおって。
服はそこの服着ればええ」

「・・それは部屋着です」

「部屋着で充分や、どうせ俺らも部屋着だし。
まぁ、ちょい座れ」


渋々ながらスーツを戻した白元は、ベッドの淵に腰かけた。
シーンと静かな2人きりの室内。

聞きたい事も言いたい事もあったのに、俺は何も言えなかった。
白元も白元で何も話し出そうとはしなかった。



「・・・泣きたいなら泣けばええ」

「!」


やっと出た言葉がこれだった。

目が赤い。
けど、メイクは崩れてない。

泣くのを我慢してるのは会った時に気付いた。
だから、みんなの所に行く前に泣かせてやりたいって思ったんや。


「それとも横山くんがええか?」


ええって言われたらどーすんねん。
何でそんな事俺は、言ったんや?!

思わず出た言葉に俺は後悔してる。
ほんまは、みんなに白元の泣き顔を見せたくなかったんや。

俺だけでええ。
俺だけの前で泣いて欲しい。






/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp