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俺らのマネは地味子さん。

第14章 ELEVEN







ー錦戸sideー



俺は村上くんの部屋に向かわず、ロビーに出た。
普段なら絶対に出歩かない場所。


「に、錦戸さん!」

「あ、山田じゃん」

ソファーに座り、キョロキョロと辺りを見渡してた山田。
めっちゃ挙動不審や。


「ダメですって!
ダメです、こんなところまで出て来ちゃ!
あー、そっちに近付かないで下さい!!」


外の様子を見ようと窓に近付く俺を必死に止める山田。


「何やねん?!」

「外に追っかけが来てます!
バレるので行かないで!!」

「あ、ほんまや」


外には、4〜5人の女の姿。
寒いのによーやるわ。


「なぁー、山田追っ払って来てよ」


普段は気にも止めへん。
けど、今日だけはあかん。


「えっ!無理無理!!
敷地内じゃないのでホテルの方も追っ払えないでいるんですよ!」

「これじゃ、アイツ入れへんやん」


どうするかと山田と押し問答しているとロビーの自動ドアが開いた。

そのままフロントに向かう1人の女。
鍵を受け取り、こっちを振り返った。


「錦戸さん、隠れて下さい」


慌てて俺を隠そうとする山田。

パチっと合う、視線。


「・・白元」

「・・・」


黙ったままや。
アイツやと思っていた女だけど、違ったのか?

けど、女は俺を見つめてた。


「全部バレちゃってるみたいですね」


そう言って、困った様な笑みを浮かべた。

ガラリと違う格好。

いつもは1つに束ねてる髪も下ろされ、綺麗に巻かれてた。
服装は、あの白元が着るとは思えへんワンピースとコート。

眼鏡はかけてねぇ。
メイクだって明らかに違う。

全くの別人。
街中ですれ違っても白元とは、絶対に気付けへん。


「化けたな」

「口が悪いですよ、錦戸さん」


喋り方はいつもの白元や。
なのに、見た目1つでこんなに変わるんか・・

化けたな、ほんま。
どうやったらいつもの白元に化けれるんや、これ。


「やっぱ、お前やったんやな」

「はい、目が合いましたね」

そう言ってにニッコリ笑った。

柔らかい笑顔。
堅苦しさが抜け出た笑顔や。


そこでやっと、気付いた。

あの格好はコイツの戦闘服だったんやって。
あの格好は鎧で、コイツはコイツ自身を守ってたんやってな。




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