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俺らのマネは地味子さん。

第14章 ELEVEN







トボトボと外に出る。
寒い中、エイター達が集まってた。

出待ちか・・

エイター達の話題は、私の事。
賛否両論。


人の流れについて歩けず、ブロックに背を付け座り込む。
ポケットから携帯を取り出すと1件メールが着ていた。



《From山田さん

お疲れ様です。
こちらは何とかなりました。
ご心配をおかけして申し訳ありません。》

ホッと安心する。

場所が場所だ。
近隣住民からの苦情、会場からの苦情は目に見えていた。

本当なら、今すぐ山田さんに怒りたかった。
何故メンバーを止めなかったのかと・・

だけど、あの山田さんの事だ。
自ら進んで手助けした恐れもある。


まだ、続くメール。
下へスクロールすると指が震えた。


《メンバーが白元さんを待ってます。
ホテルにてお待ちしております。》


たったそれだけ。
それだけなのに身体が震える。




「あの、大丈夫ですか?」

「あ、大丈夫です。すみません」


スタッフの1人が蹲っていた私に声を掛けてきた。


「大丈夫ならいいんですが、無理はしないで下さい。
タクシー停めますか?」


「新井山さんー?!その子、平気ですか?」

「大丈夫そうだけどタクシー停めてあげて」


新井山・・
渋谷さんが呼んで名前だ。

見覚えがあるスタッフ。
彼は私に気付かない。

ううん、今の私に誰も気付くはずがない。


「スタッフさんはいつもこんな事してるんですか?」

記憶が正しければ、普段はやらないはず。
バイトでもない本職のスタッフがわざわざ、どうして?


「えっ?いや、今日は特にです。
夜遅いですし、ほら、いろいろあったでしょ?
スタッフ同士手が空いたヤツから進んで見回ってるんですよ」




「どうして・・スタッフは止めなかったんですか?」



聞いてしまった。
新井山さんの笑顔を見ていると思わず、口から出ていた。

私をただのファンだと思っているのか苦笑いを浮かべる新井山さん。
言葉を選びながら話してくれた。


「あー、うーん。
だよね、普通止めるよね・・
・・地味子、さんだからかな?」


私・・だから?

言葉の意味がわからない。





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