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俺らのマネは地味子さん。

第11章 EIGHT





ポツポツと話し出した白元。

「昔の話です。
付き合っていた彼氏が暴力、DVする人でした。
良かったのは最初の4ヶ月、その後からはたまにってぐらいで最初は我慢してたんです」

普段は優しかった。
だから、怒らせた私が悪かったと思い込もうとしてたらしい。
よく聞くパターンやな。

「でも、6ヶ月ぐらいに我慢出来ず別れを切り出しました。
その時言われたんです・・」

「何て?」

「・・お前に別れる権利は無いって」

「はぁ?何やそれ・・」

「それからはあまり覚えて、ない。
1年間付き合ったけど・・残り半年間の記憶が曖昧でわかんない」

そう言って笑う白元。
だんだん敬語が消えていく。
使って話す事すら気が回らない程、根深かいと俺は気付いた。

「だからどう暴力を振るわれたとか怪我したとか・・
思い出させない・・ただ、ネックレスすら付けれない時期もあったの。
美容室で服に髪が付かない様に首に巻くアレがダメになってて、そー言えばって感じで気付いて・・
多分私・・首を絞められちゃった事があるんだなーと・・・

あ、今では小さなネックレスは付けれるの」

あかん、俺はどうしたらええ?
重い話だとわかってた。
それでも聞きたくて、受け止める覚悟は出来てた。

けどな、その男を殴りたい衝動は止められへん。

「以上です。
つまらなかったよね」

そう笑う白元の瞳は潤んでた。
泣くのを必死に我慢してるんや。

「・・なー、触ってええ?」

「えっ?」

「白元に触れてええか?」

返事を聞く前にそっと手を伸ばす。

「抱き締めさせてや、それだけだから」

そう言って俺は、そっと腕の中に白元の身体を包み込んだ。

「横山さん・・」

あの日、ベッドで聞いた半泣き声と同じ声。
その声を合図に腕に力を込めた。

「ーーっっ!!」

何も言えん。
けど、言葉の代わりに気付いてや。
頼むから・・

少し身体を離すと白元は俯き、目元を拭ってた。

あ、ヤバイ。
キスしたい。

あの日、あのベッドに触れた唇にもう1度触れたい。




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