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俺らのマネは地味子さん。

第11章 EIGHT





ー横山sideー

俺とヤス、同時に動いた。
白元の肩が揺れたのがわかったんや。

あかん、あの白元が動揺してる。
俺は亮を見なくて済むように囲い、ヤスは亮の腕を掴んだ。

そっと小さな肩に触れる。
微かに揺れた肩。
パッと離し、触れるギリギリの位置で白元を誘導し楽屋を出た。

廊下に出た途端、肩で息をする白元。

「だ、大丈夫、です」

何がや。
さっきより酷いやん。

支えたいけど触れてええのかわからん。

「あれ?横山くん、白元さん?」

廊下の奥からデレクターがやって来る。

「触るで」

白元に小声で声を掛け、その身体に手を回した。

「済みません、白元さん具合悪いすよ。
ほら、俺らの楽屋うるさいからどっか空き部屋ありませんか?」

笑いを挟みつつ、俺は尋ねた。

「大丈夫?
そこの小部屋で良かったら使っていいよ。
誰も入らないように書いてやるね」

そう言って持っていた白紙にマジックで何か書いてる。
そして、それを札の所に挟んだ。

《インフルエンザ疑いあり、入るべからず》

「・・ありがとござます」

あかん、この人バラエティのデレクターやった。
デレクターは笑いながら立ち去ったのを確認した俺は、白元を連れて部屋に入った。

座敷があるこじんまりとした部屋。
畳へ白元を誘導する。

「横になっとけ」

「済みません・・私は、大丈夫ですから」

大丈夫やから亮の所へ行けってか?
ここに1人残して行くバカじゃねぇよ。

「アホ、こんな時までマネージャーじゃなくてええ」

「・・ふふ、横山さんが優しい」

なんだそりゃ。
普段の俺も優しいやん、最近は!

「・・泣いてもええで」

「・・」

「ここなら誰もこんで」

「・・私は錦戸さんを傷付けました」

「はーぁ、だから泣けんって?」

思わずため息が漏れる。

「ええねん。
亮なんか傷付けとけ」

「出来ません。
錦戸さんは何も悪くないのに、私がダメだったから・・」

「・・話せや、何がお前を縛ってるか話せ」

「面白い話じゃないですよ」

「ええよ、何でもええからお前の話が聞きたいんや」


本心だった。
知りたい、そう思ったんや。


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