第8章 お茶をどうぞ、お嬢様〜執事松〜
私が下敷きにならないよう気を使ってくれたのか、カラ松は私の顔の横に手をついている。
「すまない…っ」
「いえ、私も不注意だったから」
交わる視線。なんか顔が近いような…。
「怪我はなかったか?」
「大丈夫…です」
「よかった」
安堵の表情を見せるカラ松。優しげな瞳に目が釘付けになる。いつも変にカッコつけてるけど、カラ松ってこんなに綺麗な瞳をしてるんだ。
(どうしよう…)
おきまりの展開なのに、何故だか心が落ち着かない。
しばらく見つめ合っていると、カラ松はギラギラと熱っぽい視線を投げかけてきた。
「あ、あの、もう平気だから」
視線から逃れようと起き上がりかけたのに、肩を押されて再びソファに背中が沈む。
「なぁ、カラ松ガール?」
「…違うけどなに?」
「君はまだ高校生。オレよりいくつも下だ。だから、そんな顔しちゃあダメだ」
「そんな顔って?カラ松こそ、その顔やめてくれる?」
「その顔とは?」
「それは…」
互いに問いかけ、口をつぐむ。
あれ?なんなのこの雰囲気は?
普段人として見てなくてバカにしてる分、異性としてほんの僅かに意識しただけでときめいちゃってるの私?