第8章 お茶をどうぞ、お嬢様〜執事松〜
ツララの先で心を串刺しにするも、カラ松は懲りずに私の隣へ腰掛ける。
「落ち着くんだカラ松ガール。そうやってすぐ感情的になるのは悪いクセだぜ?」
パチンと指を鳴らし「フフーン」と唸っている。この人はなぜこんなにも自分に酔えるんだろう。
「オレには分かる。焦ってるんだろう?なんせ、お嬢様が赤点なのは屋敷中の噂だからな!」
「っ!!」
痛い所を突かれ思わず目を伏せる。シャーペンを握る手に力が入る。悲しいのか悔しいのかは分からない。けれど胸がツーンと痛くなった。
「だから…」
痛む胸をギュッと押さえ、口を開く。
「だから、ちゃんと頑張ろうって思って…勉強教えてもらえるの楽しみにしてたのに!それなのにっ、カラ松は犯罪者予備軍のふざけた格好で来て!」
爪の半円が残るほどシャーペンを強く握り締めていると、不意にふわりと大きな手が私の手を包み込んだ。指を解かれシャーペンがカランと落ちる。
「カラ…まつ?」
「すまなかった」
今までとは一変、真剣な眼差しを向けられる。