第4章 With Luca(ルカ)
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もう寝たいと嫌がるレイを、シリウスが無理矢理、執務室に連れて行った後、セスとルカは再びアリスの部屋の前にいた。
セスの手には、パウンドケーキがある。
「…俺が作ったそのパウンドケーキ、どうするつもり?」
「口実に使うだけよ。まぁ見てなさい。」
コンコン、とドアをセスがノックして、数秒後にアリスが隙間から顔を出した。ルカは、アリスから見えないところに身を隠した。
「....セスさん?」
「お腹すいたでしょー?パウンドケーキ持ってきたわよ⭐︎」
「え? でもこんな夜中に…?」
「女の子は、ストレス溜まったら甘いものよ。夜とか昼間とか関係ないわ⭐︎」
突然のセスの訪問に、戸惑うアリスを置き去りにして、強引なセスに、ルカが思わず物陰で苦笑する。
そのまま部屋に入ったセスは、ルカに見えるように、中途半端にドアを閉めた。
手早く二人分の紅茶を淹れて、セスはソファに座った。アリスは、困惑しつつも、途切れることのないセスとの会話についていく。
「これ、アタシが作ったのよ⭐︎」
「セスさんが!? セスさん、料理苦手なんじゃ…」
「あら、アタシだってやればできるのよー?」
ソファに腰掛けたアリスに、セスは自然な振る舞いでケーキとお茶を勧めた。
セスの手慣れた様子に、ルカは奇妙な苛立ちと不安を覚えていた。
(セスみたいに手際がいい方が…いいのかな?)
ちらり、とアリスの表情を見て、ルカは僅かにシュンとした。
ともかく、セスの示す『お手本』に、ルカは目を凝らした。