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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第9章 媚薬。


一期一振様の完璧な
後処理のお陰で私はなんの
苦労もなく身支度を整えた。


足がふらふらしている私に
一期一振様の優しさで手を借りて
弟様達への場所へと向かった。


頼りがいのある兄が
身を呈して私と向き合ったのだ。


そう簡単に刀解などしない…
この本丸は刀解なんて必要ない。


そう思っていたのに
集まっているという場所の襖を
開けた瞬間に放たれた言葉は、


乱『お願いします!
一兄を刀解しないで!お願い!』


これである。


いや私ここに来て一回も
刀解しますなんて言ってないよ。


『あ、あの…落ち着い…、』


五虎退『あの…僕が、ちゃんと
一兄に説明を…しなかったから
だから…勘違いさせてしまって

だから…ぼ、僕が悪いんです。
お願いします…一兄を助けて…っ』


(むしろ私がヘルプミーなんです。)


夜中のトイレに付き添っただけで
大層な説明はいらないと思う。


えぐえぐ…泣きじゃくる
ごめんなさいと繰り返す五虎退様


乱『一兄が刀解されちゃうよぉ…』


一期一振様のスボンを引っ張り
やだやだと首をふる乱藤四郎様。


その他の面々達は私を見て
怯え睨み悲しみに満ちた表情で見る。


いたたまれない、なんて嫌な立場か…


『一期一振様…、』


一期『……はい?何でしょうか?』


隣で支えてくれた一期一振様は
私の方を向き首を傾げた。


『愛されていますね、とても…。』


一期『………っ!そう…ですね。
こんな何も出来ない兄の為に
この子達はこんなにも泣いて…
また…兄と呼んでくれるとは…』


嬉しそうに泣いている
乱様を撫でる一期一振様の表情は
弟様を見渡す私には見えないけど


だけど、


一期『これほど
幸せなことはありませんね…。』


彼らしい優しい声が聞えるから
きっともう大丈夫ですね。


よくよく見れば短刀様達の
傷は深くその身を切り裂くような
傷ばかりであり早々に始めようか
なんて意気込んだ。


資材が足りることを祈って
私はその場にいる全員に微笑んだ。


私は信用されてなくてもいいです。


皆さんはどうか自分を兄弟を仲間を
心から信じてあげて下さいね。


(さぁ…手入れしましょ、癒しましょ。)






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