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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第28章 出陣。


ゾワっとした嫌な悪寒が
体をはしり冷や汗をかく。


抱き締められた体は熱いのに
体の内から冷えてゆく感覚。


『山伏…様…。』


山伏『こうして快楽に溺れれば
何も考えることはありますまい

主殿はそのほうがよっぽど
素直になれると思いますぞ。』


イイ、筈がない。


何をおっしゃっているのだ
山伏国広様は…何を語っている。


『私は…こんな事をする為に…
審神者になったんじゃない…っ

こんな救い方…あんまりです…。』


彼の胸に手をついて
首を振って否定した、これは
間違いだと気づいて欲しくて



でも…届いてはくれない。



山伏『救われている者も多く
何を後悔することがありますかな。』


『山伏様…っ、目をお覚まし下さい
これは救いじゃない…何も救えず、
逃げているだけなのですよ…。』


快楽という言葉に溺れて
あらゆる思考が麻痺していく
私も刀剣達も人の身として
抗えない欲求の連鎖反応。


額を胸におしあてて
ぽろぽろと涙を流せば山伏様の
手が私の頬に触れて持ち上げる。


見つめ合う視線
山伏様の目に迷いはなかった。


山伏『ならばその逃げ道を
救いとすれば良いのだな!

なーに簡単なこと!欲求に
素直になれば良い!カッカッカッ!』


彼らの中に残るクロの傷痕
出陣を繰り返し開いた傷に
塗り込む快楽の薬が毒と化す。


出陣をさせなかった私が
先に彼らに教えてしまった事
それが痛みからの解放による
快楽を毒のように流す情事。


私も…彼らを傷つけていた。
消えない傷に猛毒を与えた。



依存性の高い猛毒を…、



『山伏様…ごめ、なさい…』


快楽を与えた全ての刀剣への
謝罪で押し潰されそうだった


山伏『謝る事はないですぞ!
何はともあれ…救われたと感じた
我らの心は変わりませぬからな。

そう自分を責めて下さるな。
誰も主殿を恨んでなどおらぬ。』


山伏様は私の頬を包みながら
顔を近づけて口付けを落とした


山伏『さぁ、忘れましょうぞ。』


『ん、ぅ…っ』


絡み合う熱い舌が口内に
潜り込み甘い唾液に涙を零す。


くちゅ…、と音が響く
その音に耳を傾けながら




感じてゆく自分に殺意が湧いた。










(もしも、忘れられるなら…。)








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