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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第1章 任命。


薬研『……………。』


無言の私と無言の彼と
青ざめた狐はなんとも滑稽だ。


『挨拶も済みましたし
とりあえず失礼しますね?』


薬研『は、はぁっ…?』


身構えていた彼は
拍子抜けとばかりに体がぐらついた。



『簡単にどうこう出来る問題も無く
今出来ることは何もありませんから。』


薬研『……………。』


『この本丸の皆様にもお伝え下さい
私が行かずとも貴方が伝えるでしょ?』


口元をぎゅっと噛み締めた彼の表情を
見て図星と判断しゆっくり後退する。


『物置部屋が空いてるらしいので
そちらに寝泊まりしますので何か
手入れが必要な場合お声をかけて
くれるかわかりませんが来て下さい。』


仲良しこよしなんて出来ないし
出来るとも今のところは不明である。


傷多く残る刀剣達に刺激を与えるより
新しい風が来たとでも伝えて欲しい。


うまく言ってほしいものだ…あと、
視線がつらいのでエスケープだ。


ある程度距離を後退したあと
振り向いて背を向けて物置部屋へと
足を進めた。


薬研『……………っ。』


無言の彼をその場に置いて
狐と共にその場を離れる。


するとこんのすけは
おずおずとした様子で見上げる。


こん『主様…あの…、』


『何とかなるよ、多分…。』


確証も保証も無いけれど
審神者になったのだから今出来る
それだけの事をしてみようじゃん。


死なない程度に、


『黒本丸を作る審神者を
罰する為に存在する私がまさか
審神者になるなんてねぇ…ハハ』


初審神者にして、この本丸。


さて果て…先が思いやられるなぁ…。


とりあえず今日は寝床を確保して
難しいことは明日の自分に任せよう。


『何とかなりますように。』


届かぬ願いを呟いて我が本丸となる
廊下をただ、ただ…歩き続けた。






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