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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第1章 任命。


『泣きたい。』


『あ…主さまぁ…。』


明らかに私よりも泣きそうな
こんのすけが擦り寄ってくる。


(嫌だってほんとに泣きたい。
やりたくないよ…ほんとにさぁ)


『主様になって頂かなくては
この本丸の刀剣達の果てが…っ!』


『全刀剣達の刀解でしょ…えげつな』


『で、ですから!!』


お願いします辞めないでと
狐の土下座を繰り返す姿にやれやれと
首を振って頭を撫でた。


『自分で言ったことだもん。
辞めたりしないよ…。』


『主さまぁっ!!!』


『やるとも言ってないけどね。』


『あるじざまぁ゙…。』


大号泣する狐に冗談だよと
また頭を撫でていると、
目的地である本丸に辿り着いた。


『着いちゃったよ。』


前審神者(ぜんさにわ)の力が
ムカつく程に憎たらしい程に
霊力のある者だったらしい。


刀剣達は揃っており尚且つ
深い傷こそも根強く残ってる
そんな最悪物件だとかなんとか。


(帰りたいなぁ。)


『ささっ!主様!こちらです!』


私の気持ちなどつゆ知らず
(知っていて無視)なのか本丸の
中へとこんのすけは導いてくれた。


広すぎて迷うぞこれは…あとで
地図を貰うとするかと考えつつ
進んでいると第一村人を発見した。


薬研『なんだ貴様は…。』


くっそ睨まれているけれども。


『(不本意ながら)この本丸の
審神者となりました者です。』


薬研『…っ、審神者だとっ!?』


(えぇ、不本意ですがね。)


こん『あわわわわわっ。』


事の現状を知ってもらう為にも
正直に伝えれば気を逆立てた彼。


明らかに発作が起きてそうな
狐を抱えて"薬研藤四郎"を見つめた。


殺気を剥き出しにした姿で
私ではない何かを見つめて睨んでる。


見つめられたら穴空いちゃうと
冗談を言えない空気がつらいのだ。


薬研『必要ない…、帰れ人間がっ』


それは出来ないと思いつつ
彼の本体である刀を抜こうとする
その姿から目を逸らさずにいた。


(逸らした瞬間に死ぬわこれ。)


腕に抱えた狐は既に死にそうであった。


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