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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第4章 始動。


(暗い部屋…。)


安定様の後ろには刀を壊す
道具が乱雑に置かれていて


その前に鎮座する安定様は
姿勢を崩さず俯いている。


安定『…体調は、どう?』


『すこぶる元気とは言えませんが
万全な状態ですよ、安定様。』


安定『はは…そっかぁ…。』


シーン…となった部屋に
私も安定様を口を開かない。


安定様の前に座り刀を手に取り
鞘をゆっくりと抜いた。


刀に触れた瞬間、安定様は
ビクつくように肩を跳ね上げた。


安定『…あ、の。』


『(資材が欲しいなぁ…はぁ…)』


彼の呟きに気付かず神経を
刀へと集中させて霊力を注ぐ。


安定『えっ…、』


刀身は既に崩れ眩く光る刃先も無く
所々に細かい傷が目立つ刀を癒す為
病み上がりでも体を酷使する。


安定『ちょちょ…、待って。』


『………えっ…はい?』


安定『何、してるの?』


『………手入れしてます?』


安定『なん、で』


安定様は今にも泣き出しそうだ
手入れしているのに泣かれるとは


『当然じゃないですか…、』


安定『………、?』


安定様は素晴らしき刀に
生まれ変わった本体を見て
1粒の涙を零した。


『私の大事な刀だからです。』


安定『僕は!君に…あんな事を…っ』


(あんな事やこんな事をされました
ですが…答えは決まってます。)


『刀を守るのは私の役目ですから。』


安定『………っ!』


私は安定様の刀をそっと差し出し
終わりましたと微笑んだ。


安定様は本体を強く強く
抱きしめて小さくか細い声で囁いた。


安定『………ありがとう。』


私はその言葉に微笑んで頭を
優しく撫でてみた。


触れた時に震えてしまったが
撫でている度にまた嗚咽を零す。


『さぁ、お茶にしましょう。
待っていて下さる方々がいます。』


安定『いいの、かな。僕…帰っても』


『勿論です。この本丸の大和守安定様は
貴方だけ、代わりはいませんよ。』


安定『許して…くれるの、?』


清光の時も言われた言葉
撫でていた手を頬へとおろし
目を合わせて呟いた。


『ここから一緒に始めましょう。』


その言葉に私の手に流れ落ちる
透明な温かい雫が触れる。


安定『うん…っ、……うんっ。』


何度も頷く彼の目に
闇に溶け込む影はどこにも無い…、



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