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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第8章 魔王の恋人 / 織田信長




「の、ぶなが、様……?」


舞が名前を呼んだ。
信長は、もう一度舞の頬に触れる。

今度は振り払われなかった。


「大丈夫か」
「信長様……っ」


大粒の涙が、頬を伝っていく。
信長は、舞のその悲痛な様子に耐えきれず、思わず抱き寄せた。

華奢な身体が小刻みに震えている。
それを安心させるかのように、信長は強く、でも優しく抱きしめた。


「大丈夫だ、俺はここに居る」
「はい…はい……っ、信長、様……っ」


泣きじゃくる舞をあやす様に、ひたすらに頬に口付けを落とす。

今は、何も訊かないほうがいい気がした。
ただ、目の前で傷ついている舞を、癒したかった。



「俺の自室に来るか」

舞が小さくこくっと頷いたのを確認し、信長は舞を抱き抱える。

そのままゆっくりした足取りで部屋の外に出ると、家康達が驚いた声を上げた。




「信長様、舞……!」


家康が、信長の腕の中の舞に触れようと、頬に手を伸ばした。

しかし、指先が少し触れるだけで、舞は拒絶するように、びくっと身体を震わせた。


政宗が家康の肩に手を置き、顔を左右に振る。
それだけで、家康も全てを理解したようで……
ゆっくり舞から、手を引っ込めた。



「自室に連れていく。 政宗」
「はい」
「現場を目撃したのはお前だと聞いている」
「はい、その通りですが……」


信長がゆったりした口調で、しかし怒りを秘めたような低い声で言った。


「お前が男を尋問しろ、その時の様子を何がなんでも吐かせろ。俺も後から向かう……抵抗するなら拷問も許す」


信長の身体からにじみ出る、冷酷で有無も言わさぬ威圧感に、政宗は一歩たじろいだ。


「解りました、仰せのままに」


政宗のその一言を聞くと、信長様はゆっくりした足取りで、天守の方へと向かっていった。


その様子を見送った家康、政宗、女中達は、冷や汗をかきながらも安堵のため息を漏らす。




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