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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第8章 魔王の恋人 / 織田信長




「家康、舞はどうした」
「信長様、落ち着いて下さい」
「俺は落ち着いている」
「どこが落ち着いてるんですか、顔が真っ青ですよ」


家康に言われ、信長は胸元から手を離した。
言い知れぬ凄味を帯びた信長に、家康は圧倒されながらも、なんとか落ち着いた声を絞り出す。



「舞の事ですが……」
「……」
「信長様にお願いがあります……舞を助けてやってください」



















部屋には、行灯がひとつ灯っている。
中央にひとつだけ敷かれた布団に、舞は寝かされていた。

信長が部屋に入ったのに、舞は向きもしない。
ひたすらに天井を見つめ、瞳には光を宿しておらず……
視界には、何も映っていないようだった。





(舞……)








『治療をしていないだと? 家康、貴様何をしている』

『舞が触れる事を拒否しているんです。 俺は疎か、女中ですら触れようとすると、嫌がって暴れるので……』

『では、舞は今どのような状態なのだ』

『多分舞は……男に酷く暴行されたのではないかと』

『殴られたのか、それとも……』

『強姦されたかは解りません。 舞が診せるのを拒んでいます。 でも、もし男に強姦されていたとすると……』








家康との会話を思い出す。
一体舞の身に何があったのか……

しかし、信長にとって、今はそれはどうでもよかった。

今、目の前にいる舞がどれだけ傷ついたのか。
その計り知れない心中を思うだけで、胸が傷んだ。



「……舞」

信長は舞の布団の横にしゃがむと、名前を呼んで頬に触れた。

しかし、次の瞬間。


「やっ……」


パシッと音がして、手を振り払われる。
舞が本能的にやったようだった。


「舞」


もう一度名前を呼ぶと、舞が信長のほうを見た。
しばらく、まばたきもせずに見つめ合う。

すると、舞の目に、涙が溜まっていくのが解った。
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