第17章 正体 ~與儀side~
「女…?
何言ってるの十夜くん?松岡ちゃんが女の子なんて、それくらい知って…」
途中で言葉を止めた。
だって十夜くん、凄い顔してたから。
怒ってるっていうよりは呆れてる…
いや、驚いて固まってる?
「マジ、か…」
呟くのと同時に座った状態からバタンとベットに倒れた。
「十夜く~ん、だいじょうぶ…?」
「………」
(…聞いてる…??)
ハァと大きなため息が聞こえた。
「…俺はさぁ、
素直じゃねぇしガキだし…何にも出来ねぇ。
…でも、アイツは…繋のことは守りたいと思うんだ。」
「…?」
顔は手で隠してて見えないけど、真っ赤な耳が見える。
「小っちぇ頃からの付き合いだし、どうせ俺のこと弟ぐらいにしか見てねぇんだろうけど…
それでもいつか、俺がアイツを守ってやれるようになりたいんだ。
…好きだから。」
「…!」
(そっか…。)
十夜くんの言うその“好き”は、俺の言った“好き”とは違った。
(『女として』
十夜くんは繋さんのことを、1人の女性として好きなんだね…。)
さっき言ってたのは、そういう意味の“好き”。
「おいっ!聞いてんのかよっ!!」
「えへへ…。」
「…何笑ってんだよ…。」
体を起こした十夜くんは真っ赤だった。
なんだか微笑ましくて、俺は温かい気持ちになったよ。
「…好きな奴は守りたいって思うだろ?」
「そうなの…?」
「そうなんだよ!
だから…あれだよ。
守れなかった自分がムカつくってのは、守りたいってのと同じなんだよ、きっと。」