第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜
コナン君は「おぉーい!こっち!」と弓を構えている3人に向かって手を振った。
3人がそれに気をとられたのを確認した後、コナン君は腕時計型ライトを上にぶん投げた。
それに釣られたのか、3人はコナン君がいるであろう場所をめがけて矢を放つ。
だがコナン君はもうそこにはいなかった。
ジャンプして空中へ飛び、ボール射出ベルトからサッカーボールを出し、──西条の小太刀めがけて蹴った。
ボールは見事に当たり、西条の小太刀は吹っ飛ばされたが、コナン君も同時にバランスを崩してしまった。
「コナン君!」
コナン君が落ちるギリギリの所で和葉ちゃんがキャッチする。それを見た平次君が刀を返し、峰打ちの姿勢になった。
そして西条の振るった刀を折り、西条の腹に刀を打ち込んだ。
「ガハッ……!」
それにより気絶した西条が屋根から落ちる寸前で平次君が止める。
「“義経になりたかった弁慶”か……あんたが弁慶やったら、義経は安宅の関で斬り殺されてんで……」
リーダーが倒されたのを見て、怖気づいた弟子達が一斉に逃げようとする。
だが──
蘭ちゃんの回し蹴り、小五郎さんの一本背負い、白鳥警部のトドメにより、4人とも成敗された(白鳥警部は辛うじて動いていた1人の頭を棒切れで叩いただけだが)。
「お姉さん!」
「瀬里奈ちゃん!」
蘭ちゃんと小五郎さんが私に気づき、こちらへ駆けて来た。
「蘭ちゃん、小五郎さん……」
へらっと力なく笑い、コナン君の元へ向かう。
「瀬里奈姉ちゃん!お腹平気?」
「ん、もう平気。ありがとコナン君」
そう笑うと、綾小路警部達が寺に入って来た。
「……絵の謎は、解けた?」
私がそう問うと、コナン君はコクリと頷いた。
「ああ……」
近くでは、和葉ちゃんと平次君が話している。
「でも仏像はどこに……」
平次君が辺りを見回そうとすると、コナン君がわざとらしく咳払いをする。
それで分かったのだ。仏像の在り処が。
「……なるほどね」
私が呟くと、コナン君は「瀬里奈なら分かると思ってたぜ」と嬉しそうに言った。