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白い雪【名探偵コナン】

第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜


「そろそろ決着つけようやないかい!」

西条がそう切り出した。そして義経流独特なのだろう、両手をだらりと下げた隙だらけの姿勢を作った。
平次君も刀を順手に持ち、「望むところや!」と西条に刀を振り上げた。
だがそれは、あの時と同じ手で防がれる。

「二度と同じ手は食わへんで……」
「なら……これはどうや!」

西条は腰に付けていた小振りの刀を鞘から抜いた。

「小太刀か……」
「ただの小太刀とちゃう……即効性の猛毒が塗ってあるんや!」
「!? 何やて?」
「ちっとでも掠ったらお陀仏やで……」

そんな会話が聞こえた。

「何ちゅう卑怯な奴や!」

和葉ちゃんが悔しそうに叫んだ。私も体の痛みとは別に顔をしかめる。

「……サイテー」

平次君は小太刀を避けながらの応戦となり、戦況は圧倒的に西条の方が有利になっていた。

西条の攻撃を平次が避ける。と、その反動で平次君の体は屋根を転がっていった。
平次君は刀を屋根に突き刺し、間一髪で屋根から落ちずに済んだ。だが、かなり緊迫している。

「アカン!平次が危ない!」

西条がニヤリ顔で言った。

「もう逃げられへんやろ……下からは弓で狙てるしな……」
「!!!」

弟子の内3人が平次君を弓で狙っていた。
「何とかせな……!」と和葉ちゃんが狼狽える。と、コナン君がいきなり駆け出した。

「!」

残っていた弟子がコナン君を追おうとするが、和葉ちゃんがそれを押さえる。
私は弟子の手から離れた刀を手に取った。

「……このまま頭に刀ぶっ刺されたくなかったら動くな」

冷ややかにそう言い放つと、弟子は面越しにも分かるほどサーっと顔を青くさせ、コクコクと大きく頷いた。

「瀬里奈さん……めっちゃ怖いわ……」
「そう?」

私はきょとんとしながら答えた。
そんなに怖くないと思うけどなー。

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