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白い雪【名探偵コナン】

第11章 揺れる警視庁1200万人の人質


「『俺は剛球豪打のメジャーリーガー
さあ延長戦の始まりだ
試合開始の合図は明日正午
終了は午後3時
出来のいいストッパーを用意しても無駄だ
最後は俺が逆転する
試合を中止したくば俺の元へ来い
血塗られたマウンドに
貴様ら警察が登るのを
鋼のバッターボックスで待っている』」

この文章は、3年前の爆弾事件の時の予告状と文面が酷似していた。
まさか──同一犯?私は背筋がぞくりとした。

「……瀬里奈ちゃんはもう帰りなさい」
「え……佐藤刑事?」

電話を終えた佐藤刑事に静かにそう言われ、私は困惑した。

「あなたが関わることじゃないわ。明日も……行くんでしょ?」
「……!」

佐藤刑事は“彼”のことを心配してくれているのだ。爆弾事件を追うよりも、“彼”を優先しなさい、と。
だが──

「……どうしても、引かなきゃダメなんですか」
「彼が目覚めた時に、あなたがいなかったら悲しむんじゃない?さ、もう帰りなさい」

そこまで言われ、私はそれ以上食い下がれなかった。

「……分かりました。じゃあ、また明日……」

私は少し笑ってその場を後にした。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

──7年前の事件では、犯人はやはり2人だった。爆弾が仕掛けられた場所は都内にある2つの高級マンションで、要求は10億円。住人が1人でも避難すれば、即爆破するという条件だった。
1つは何とか時間内に解体できたが、もう1つはかなり手間取ってしまったため、仕方なく爆弾犯の要求を飲むことにしたのだ。そして起爆装置のタイマーは止まり、住人も全員避難し、時間は終わったかのように見えた……。
だが、その30分後に突然、爆弾犯の1人から警察に電話が入ったのだ。

『爆弾のタイマーがまだ動いているってどういうことだ?』

と。

恐らく彼は、その頃TVで流れていた事件を振り返るVTRの一部だけを見て勘違いしたのだろうが──警察は、爆弾犯を確保する絶好のチャンスだと思い話を引き延ばして逆探知に成功、電話ボックスにいる犯人を発見した。でも運悪く、慌てて逃げた犯人は、逃走中に車にはねられて死亡した。
そしてその後、止まっていたはずのタイマーが再び動き出し、爆発したのだ。
安心して爆弾を解体していた爆発物処理班を巻き込んで……。

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